Python 製ジオコーディングライブラリ Geocoder を試す

TL;DR

これはアドベントカレンダーの12日目の記事です。 今日は、Python 製のジオコーディングライブラリの Geocoder を試してみたという話です。

Why geocoding?

地上望遠鏡の観測の際には、その地点での天体の方位角と仰角 (az, el) が一日の中でどう変化するかを知ることが重要です。 このような理由から、(az, el) プロット作成するためのコマンドラインツール Azely を開発しているのですが、計算には天体の赤道座標値の他に、望遠鏡の緯度経度 (lat, lng) の座標値が必要になります。 天体座標は、例えば Astropy を使うことで天体名から検索することができます。 そこで、望遠鏡座標も地名 (e.g., 野辺山宇宙電波観測所) から検索 (ジオコーディング) できると便利です。

Geocoder

Simple and consistent geocoding library written in Python.

Geocoder は、複数のマップサービスのジオコーディング API を統一された文法 (メソッド) で扱うことができる Python 製ライブラリです。 一般的に API が返す JSON の結果はサービスごとに独自のため、これをプログラムの中で使うために独自のコードを書く必要があるのですが、Geocoder を使うと API の中身を気にせず簡単にジオコーディングを行うことができます。 ちなみに、README によるとおよそ30個のマップサービスに対応しているそうです…すごい。 この中には、API キーの必要ない OpenStreetMap なども含まれているので、Azely の中ではこうしたサービスを使うのが良さそうです。

Installation

Python パッケージなので、pip でインストール可能です。

$ pip install geocoder

同時にコマンドラインツールも使えるようになるそうですが、ここでは扱いません。

Usage

Geocoding (OpenStreetMap)

例えば OpenStreetMap で野辺山宇宙電波観測所の座標を取得する場合、たったこれだけで取得できます。

>>> import geocoder

>>> ret = geocoder.osm('野辺山宇宙電波観測所', timeout=5.0)
>>> print(ret.latlng)
[35.9429899, 138.473690612737]

ここで、ret はジオコーディングオブジェクトで、以下のようなメソッド (プロパティ) を持っています (他にもあります)。 ret.ok は、ネット接続がなかったり、タイムアウトの場合に False を返します。 参考までに、ret.json を Appendix に置いておきます。

Method Description
lat 緯度 (deg) の float
lng 経度 (deg) の float
latlng [緯度, 経度] のリスト
address 住所の文字列
location 場所の名前
json 取得された JSON の dict
geojson GeoJSON 形式の dict
ok 取得が成功したかを示す boolean

また、他にも以下は上手く取得できました。 ただし、'ASTE''ALMA' だけだと別の場所が選ばれてしまうので、ある程度のヒントは必要なようです。

>>> ret = geocoder.osm('ASTE telescope')
>>> print(ret.address)
ASTE (Atacama Submillimeter Telescope Experiment), San Pedro de Atacama, Provincia de El Loa, Región de Antofagasta, Chile
>>> ret = geocoder.osm('NANTEN2')
>>> print(ret.address)
NANTEN2, San Pedro de Atacama - Paso Jama, San Pedro de Atacama, Provincia de El Loa, Región de Antofagasta, Chile
>>> ret = geocoder.osm('ALMA AOS')
>>> print(ret.address)
AOS, San Pedro de Atacama, Provincia de El Loa, Región de Antofagasta, Chile

Geocoding (IP address)

地味に便利そうなのが、ユーザの IP アドレスから場所を取得できる機能です。 ここで取得できるのはざっくりとした値にすぎませんが、例えば以下を名古屋市から実行した場合、住所が正しく取得できていることが分かります。

>>> ret = geocoder.ip('me')
>>> print(ret.address)
Nagoya, Aichi, JP

References

Appendix

{'accuracy': 0.31000000000000005,
 'address': '野辺山宇宙電波観測所, 南牧村, 南佐久郡, 長野県, 中部地方, 日本',
 'bbox': [138.4686251, 35.9401096, 138.4767526, 35.9453509],
 'confidence': 8,
 'country': '日本',
 'country_code': 'jp',
 'county': '南佐久郡',
 'importance': 0.31000000000000005,
 'lat': 35.9429899,
 'lng': 138.473690612737,
 'ok': True,
 'osm_id': '133160162',
 'osm_type': 'way',
 'place_id': '105994825',
 'place_rank': '22',
 'quality': 'observatory',
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  'licence': 'Data © OpenStreetMap contributors, ODbL 1.0. https://osm.org/copyright',
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   'county': '南佐久郡',
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 'state': '中部地方',
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 'type': 'observatory',
 'village': '南牧村'}
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